樹齢80年以上、高さ15mにもなる並木道沿いの4人家族の建替え計画です。
「食べる時間を大切にでき、メンテナンスをしながら経年変化を楽しむような家。そして既存の庭も愛着があるのである程度残していきたい。」というのが、今回の大きな要望でした。
夕食は家族全員で作ることから始まり、ゆっくり過ごすことが多いとの事。そこでキッチンとダイニングを、この家で一番心地の良い空間となるように設計しました。既存樹を整理し、日々変化する庭木や並木を眺められる場所にダイニングを配置しています。庭木は幼少時から思い出のあるものをポイントとして残し、季節ごとに楽しめる樹木を新植しています。並木道際にあった大谷石塀を撤去し、生垣でさりげなく隔てることで景観に配慮しました。撤去した大谷石は菜園との区画や庭石とし、落ち葉は腐葉させ菜園の土として再利用しています。
また、並木は天然の庇となり夏の直射より防いでくれますが、一方で、落ちてくる葉や樹液、枝への対策も重要な事項となりました。屋根を緩い勾配とし、落ち葉の季節に樋の掃除や点検がしやすいように、詰まり防止用の蓋つき雨樋を採用しました。窓への落ち葉や樹液による汚れを防ぐため、庇を設置しています。時間の経過と共に並木道になじんでいく家となるよう外壁には厚物の板材を採用しました。 風雨にさらされることで色が変わり経年の変化を楽しむことができるように計画しています。
リビングとキッチンを隔てる壁は高さ2mに抑え、ダイニング・キッチンの天井の勾配が美しく見えるよう配慮した。
家族の気配を感じながらも互いに気にならないような場所に、腰掛けたりできるスペースをいくつか設けている。
写真右手に見える外壁材は、紫外線により変色し、表面に塗膜をつくり防腐の役割も果たす。
リビングよりテラス越しに庭をみる。
手前に植えたジューンベリーが、庭の奥行き感を一層引き出させてくれる。
ダイニングの窓は大きくして並木も眺められるようにしている。
自転車に乗った人からの視線を考慮して生垣は高さ2mとした。
リビングつづきの和室には、あえて段差を設け、畳のヘリや障子の割りも大きくして
田舎家の雰囲気に仕上げている。
階段上にトップライトを設ける事により、空へ視線が抜けファミリールームも明るい。
また、通風を考えて開閉できるようにしている。
夏には、天然の日傘を差してくれる並木樹がトップライト越しにみえる。
開放感のあるダイニング・キッチンとするため、一部平屋として天井を高くしている。
また、窓正面には隣家からの視線を考慮して、常緑樹のシラカシ(約6m)の株立ちを植えている。
家族構成 | : | 4人家族 |
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所在地 | : | 東京都郊外 |
用途地域 | : | 第1種低層住居専用地域 準防火地域 第2種高度地区 |
構造 | : | 木造(SE構法)・地上2階建 |
敷地面積 | : | 274.64㎡/83.0坪 |
建築面積 | : | 88.88㎡/26.8坪 |
法延床面積 | : | 125.99㎡/38.1坪 |