緑豊かな善福寺公園にほど近い旗竿状敷地に計画した、夫婦のための住宅です。
旗竿状の敷地は、道路から奥まっているところからマイナスのイメージが強いと思います。しかし、住まい方のイメージによっては、旗竿地のマイナス面をプラスに生かすことが出来る場合もあります。
土地購入時からご相談頂いていた施主には、当初から静かな家をというお話を伺っていました。そこで道路から奥まっていることを逆手に、ひっそりとプライバシーを守りながら暮らすことが出来る家を計画しました。竿の部分でできた長いアプローチは前庭として季節の木々を楽しむことができます。そして、その長いアプローチ・前庭を望むべく、LDを2階に配し、大きなピクチャーウインドウから庭を眺めるように計画しました。不要と感じる竿の部分を、密集した住宅地では難しい「視線の抜け」として逆に利用しています。
1階には個室、浴室、大きめの納戸、ウォークインクローゼットを配し2階をより開放的にすることを考えました。玄関越しには中庭を配し、建物に入ってからの視線の抜けが急になくならないよう中庭や階段へと視線が抜けるようにしています。また1階床と玄関土間がつながって感じられるように段差を低くおさえ、続く階段には2階トップライトからの日差しが1階土間まで差し込むようにスケルトン階段としました。2階は屋根と同じ三角形の勾配天井のLDKと、天井を低くした畳スペースのワンルームとしているため、隅から隅まで視線が通り、実際の面積以上の広がりを感じることができます。
リビングダイニングの中心に薪ストーブを配置しました。黒い煙突が板張りの斜め天井を貫いて伸びた姿はインテリア的にも外観上もこの家のシンボルとなっています。
障子を閉めたところ。
ワンルームの中に小さなプライベート空間ができます。
2階 吹き抜けより見おろしたところ。
光と風が通るスケルトン階段としました。
自転車が2台ゆったり置ける土間。
土間とのレベル差を小さくして一体感を持たせています。
広めの玄関に、大容量の靴収納(写真右扉)の裏は薪置きスペースを設けています。
中庭横の個室から水廻りを隣接させることにより、風が通りぬけ、さらには土間へも回遊でき家事動線の短縮にもなっています。
路地状敷地のアプローチは自転車の出入りも考えて小さな段差とし、ハーブ類を植えて明るく演出しています。道路から少し入っているので、2階の木製サッシは日中ブラインドなしですごすことができます。
家族構成 | : | 夫婦(40代) |
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所在地 | : | 東京都杉並区 |
用途地域 | : | 第1種低層住居専用地域 準防火地域 第1種高度地区 |
構造 | : | 木造(金物工法)・地上2階建 |
敷地面積 | : | 105.84㎡/32.0坪 |
建築面積 | : | 42.24㎡/12.7坪 |
法延床面積 | : | 82.81㎡/25.05坪 |